2009年02月20日

10の世界の物語(アーサー・C・クラーク)

10mono.jpg 全部で15編からなるアイデア一本勝負の短編集。

 星新一風やアシモフ風の短編が続くが、いずれも長編のためのアイデア集といった感じの作品が多い。

 コレクションアイテムかな。
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2009年02月14日

人質カノン(宮部みゆき)

kanon.jpg 「人質カノン」「十年計画」「過去のない手帳」「八月の雪」「過ぎたこと」「生者の特権」「漏れる心」の7編からなるミステリー短編集。

 長編しか読んだことがないから手に取ってみたのだが、圧倒的な筆力は健在。謎を含んだ展開、あっという結末。しかも、いずれも何とも言えない後味が じわぁ〜 と効いてくる。

 勧善懲悪ではないし、クリアな結論がすべてにあるわけではないんだが、久しぶりにいい短編集を読んだ気がする。満足。

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2009年02月09日

太陽の王と月の妖獣(ヴォンダ・N. マッキンタイア)

taiyouou.jpgネビュラ賞受賞作。時代は古代フランス。知性を持つ妖獣を軸に、少し変わったSFが始まる。

 しかし、冒頭数ページでギブアップ した。

 なんせ登場人物の名前が長いし、時代背景から人間関係もややこしい。期待の書ではあったんだが、風邪気味も手伝って集中力が切れてしまった。いずれ再読することにしよう。
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2009年02月08日

遥かなる地球の歌(アーサー・C・クラーク)

harukanaru.jpg 同じテーマで3回読むことになった作品。もちろん、今回が 決定版 だ。

 人を描くという印象がないクラークだが、映画化を意識したのか今回は人を中心に据えているところが暖かい。

 滅亡していく地球を後に植民星を探す旅人が途中寄港したのは、はるか以前に出発した先人たちが繁栄しつつある植民星サラッサだった。

 時間の進み方が異なる両人種。サラッサ住民と先に進む使命を持つ旅人。人工冬眠で時間がぐちゃぐちゃになるんだが、そこに「ベンジャミン・バトンの世界」が広がる。

 いやぁ、同じ虚構ならこっちのほうがはるかにいい。下手にくっつかず、それぞれの道を歩むことになる住民・旅人両者のドラマが鮮明だ。何事もなかったかのごとく船は出発する。

 加えて、サラッサには人類とは別の生命体も存在する。いずれの種がサラッサを統治するのか。また、先に進んだ旅人たちの運命は。続編を読者が思い描くことができる余韻を持ちながら物語は終わる。いい物語だ。永久保存版 だと断言できる。
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2009年02月05日

ルナ・ゲートの彼方(R・A・ハインライン)

K3100002.JPG 久しぶりにハインラインを買った。とてもうれしい。でも、800円は少し高いなぁ。
(買った途端に写真を撮ったから画質が悪い)

 異星にワープしてのサバイバル試験を受けた少年の冒険談=ジュヴナイル なんだが、スピード感があり、いつもの通り一気読みできる。

 こどもたちが未開の星で社会を築き上げ、さぁこれからというときに…。夢物語ではない現実のエンディングがとってもハインラインらしい秀作だ。
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2009年01月30日

ベンジャミン・バトン 数奇な人生(フィツジェラルド)

K3100003.JPG 映画に興味があったので、まずは 1922年の(古い!)原作を読んでみることにした。

 老人で生まれ、すぐにしゃべって葉巻をすって、大きくなって、小さくなっていく。平坦な物語だ。作者は映画「華麗なるギャツビー」の原作で有名だが、この短篇はどれもなぁ…。

 表題作の他、「レイモンドの謎」「モコモコの朝」「最後の美女」「ダンス・パーティの惨劇」「異邦人」「家具工房の外で」という短篇がつまっているが、どれも薄味かな。

WILLCOM で撮ったので少し画質が悪い


 なぜ、この平坦な物語を映画化しようとしたのかわからないし、どう味付けしたのかもわからないが、きっと映画の方がいいんだろう。期待して3時間近い映画を鑑賞することにしよう。
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2008年11月29日

おみそれ社会(星新一)

omisore.jpg 懐かしい。中学生くらいのころに読み漁った記憶がある星新一さんのショートショート。次から次へとわけのわからんことが起こっていくさまがなんとも楽しい。

 今回は少しおとなしい読み物だが、それなりに一気に楽しく読めた。でもいずれも少し長すぎるかな。続けて読もうかなぁ。しかし映画もたまっているし困ったなぁ。

 作品は次のとおり。

・おみそれ社会 ・・・ ま、出だしはこんなものかな。
・女難の季節 ・・・ ちょっとさえないなぁ。
・ねずみ小僧六世 ・・・ 面白くないなぁ。
・キューピッド ・・・ これもイマイチかな。
・牧場都市 ・・・ これが一番楽しかった。まさに逆説の星節かな。
・はだかの部屋 ・・・ わからんではないが、ねたが下品。
・手紙 ・・・ これも面白い。落ちはけっこういいね。
・回復 ・・・ オチがもっとも決まるのがこれ。
・古代の神々 ・・・ う〜ん、あんまりだな。
・殺意の部屋 ・・・ はだかの部屋と似た展開だね。
・ああ祖国よ ・・・ 面白いけれど、長すぎる。
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2008年10月09日

「超」整理法3(野口悠紀雄)

chouseiri3.jpg 「超」久しぶりの野口先生。

 5夜連続宴会の帰路で読んだためか、印象に残っていない。スケジュール管理の話なので、ためになるかなぁと思っているんだけれど、一覧性の良さを説く部分だけが印象的。

 なぜ一覧性がスケジュール管理にいいかってことなんだけれど、スケジュールを点で見ないで線で見るためというのはまさに勉強になった。

 ただ、プロジェクトものが多い私の職種では、工程管理が重要なので完全にはなじまないなぁ。
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ゴルゴダの迷路(ジョン・ガードナー)

gorgoda.jpg タイトルに惹かれ古本屋で購入。作家に関しての予備知識はボンド・シリーズの作者らしいことだけ。

 筋は睡眠催眠で情報を埋め込まれた人物を捜し出して、最終ゴールへ到達するというスパイもの。背景は、ソ連がヨーロッパを制圧し、その奪還にアメリカが動くというもの。中国がアメリカ側につくのがおもしろい。

 読み物としては、薄っぺらい印象がある。フォルテッシモがない楽曲かなぁ。もう一ひねりほしかったというのが本音だった。
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2008年10月03日

スタートレック宇宙大作戦 カーク艦長の帰還(ウィリアム・シャトナー)

st_book.jpg 映画「ジェネレーションズ」のその後を述べるノベル

 死亡したカークがボーグにより改造人間となって生き返り、ピカード艦長を狙うって筋。頭の中で俳優イメージが前面に出てくるために多少文章が平坦でも先に進むことができる。本当に平坦な日本語だが、英語でも平坦な文章なんだろうか。不思議だ。

 冷めた目で読んだけれど、やはりオールスターキャストによるドラマは圧巻。ダブル・ヒーローでラストのボーグ本拠地をたたくあたりは本当にワクワクする。

 スタートレック 〜 The Motion Picture での主役「ビジャー」が最初のボーグだったという設定を作り、全体のストーリーを有機的につなげるあたりはうまい!の一言。

 エンディングででカークはやはり殉職するが、エピローグでは再復活をにおわせている。続編もあるとのことだ(邦訳があるかどうかは知らない)。

カーク、スポック、マッコイの3巨頭

ピカード、ライカー、データの新シリーズメンバー
を配したフルキャストによる

映画をみたい!
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2008年09月29日

火星のタイム・スリップ(フィリップ・K・ディック)

kasei_dick.jpg 過去を改変しようとしたがそこには大きな落とし穴が・・・。

 久しぶりのディック節だ。うれしい。最近古本屋からSFが消えていってる。ほとんど在庫がない。これは大問題だ。

 かろうじて、天牛堺書店(天下茶屋店)における定例の100円セールで見つけるのみだ。天牛は南大阪が中心だから、なかなか見て回ることができないのがとても残念。

 さて肝心のお話の方は、少し寒い。傑作だと言われてはいるが、筋的に破綻がないということは認めるものの、SF的な味付けが非常に乏しい。

 特に前半分は展開が遅くていらいらすることもある。登場人物を使い捨てせずに描ききっているところはいいと思うけれど・・・・。

 最終的な結末は楽しめるものではあるが、これは長編ではなく短編で出してもしかったなぁ。
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2008年09月24日

探偵ガリレオ(東野圭吾)

080924-075014.jpg 「燃える(もえる)」「転写る(うつる)」「壊死る(くさる)」「爆ぜる(はぜる)」「離脱る(ぬける)」という5編からなるお気軽ミステリー。オカルトチックな事件を物理学助教授が級友の刑事と解決していくって筋であり、科学に基づいたトリックを解くというのが売りのようだ。

 著者は大阪府立大学電気工学科というから、そんな知識に基づいてってことなんだろうなぁ。一般的には読みづらいだろうな。

 とはいうものの、シリーズ化されており、テレビドラマもあるようでけっこう人気かつ有名なようだ(私は知らなかったのだが)。

 本作はあまり好きではないが、別の作品を読んでみたい気がする。今度古本屋で探そうっと。
(写真はアドエス・・・画質イマイチ!)


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2008年09月21日

理由(宮部みゆき)

riyuu.jpg ナレーターが語りかけてくるような感じで物語は進んでいく。いきなりの惨殺から謎がだんだんほぐれていく。そしてその過程で宮部作品らしく登場人物一人一人のがそこに描かれている。

 ミステリーといえる作品ではないと思うが、その形態を借りた上質の小説だと思う(直木賞らしい)。2作品連続でミステリーチックな小説を読んだ。宮部ファンにはこの2作品が嫌いな人も多いと聞くが、この方向での進化なら、私は大歓迎だ。

 業界を舞台に人間ドラマを作るアーサー・ヘイリーのように、殺人を舞台とした和製ヘイリーってな感じというと当たらずとも遠からずかな。とにかく満足だ。

 がっかりするかもしれないけれど、映画も見てみたいな。

9/23追記

 映画を見た。99点だった。原作の色をそのまま映像にしている。映画のほうがよかった点は残念ながらない。ラストの歌と下手な幽霊のCGはなかった方がいいと絶対的に思う。それでも、 2時間半の中にエッセンスを詰め込んだ力量には感服する。

 邦画の場合、俳優でなんとなく筋が読めたりするが、オープニングの俳優の紹介でも「映画の中で出てくる順番」になっている。決して有名な順番ではない。だから、どの俳優が重要な役回りかという予断も許さない。今回は先に原作を読んでいるので意味がないかもしれないが、この配慮は非常によい。

 ナレーターの感じは、マンションの管理人とルポライターが勤める。背景描写はさりげなくテレビなどの情報で読書に伝えている。俳優の質にもよるが(実は俳優によりでき不出来が激しいのがこの映画の特徴だ)押さえどころはきっちりと抑えているのがすばらしい。
(その分、端役はやはり端役でしかない)

 いやぁ、すばらしく原作に忠実な映画だった。超えないけれど、それ以下でもない。微妙なバランスにたったいい映画だ。

 なお、この映画で最も目立っていたのは宮崎あおいという女優。好みの問題もあるだろうが、ほかがかすんでしまうほどきらめいていたと私は感じる。原作ではたいした役回りではないだけに、特に目立ってしまう。ある意味、ミスキャストだったな。

 ついでに言えば、ヒロインといえる綾子がかわいくきれい過ぎる。もっとどろどろした感じがないと原作のイメージが損なわれる。

 ラストの説教くささとこの二人のミスキャスト以外は、この淡々とした作品を映画にした意欲と技術は賞賛に値すると思う。99点だ。
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2008年09月17日

誰か(宮部みゆき)

dareka.jpg 小粒だってことであまりいい評価を得ていないミステリー。

 この作者は模倣犯以来久しぶりなので、それもいいかなと思って選択。

 自転車によるひき逃げが題材で殺人の描写がないからか、とても柔らかい感じだ。少ない登場人物の描写が主となっており、ゆったりと読むことができた。

 幸せってのがテーマになっているんだな、これ。登場人物の小さな幸せや不幸をゆったりと描いている。これはミステリーじゃない。とてもいい小説だと思う。
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2008年09月11日

推理小説(秦建日子)

suirishosetu.jpg なんと古本屋で 84円で売られていたかわいそうな本。河出文庫という聞かない出版社だし、B級のにおいがぷんぷんする。

 本作に惹かれたのは、これも先日同様若い男刑事と(今度は)若い美人刑事が主役のミステリー(?)だから。推理小説好きの殺人犯が、実際の殺人を描いた自身の小説の続きを出版社相手に落札せよと迫るっていう筋。

 面白い筋書きではあるけれど、登場人物が描きこまれていないため面白くない。あっそ、ってな感想かな。文体が結構ユニークだから、もうちょっと書き込めばいいものができそうな気もするなぁ、偉そうにはいえないけれど。
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2008年09月10日

わたしが殺された理由(アン・アーギュラ)

watasikoro.jpg 33年前に殺された少女の記憶を持つ青年刑事とそのパートナーの女刑事が主役のミステリー。2007年3月と比較的新しいが当然古本屋で購入。

 変わっているのが、独身の男が30歳、更年期障害持ちの女が50歳ということと、ストーリーの語り口が女刑事であることだ。作者は女性なのかなと思ったら、どうやら男性のようだ。女性描写が正しいのかどうかわからないが、少し違和感がある。

 筋やトリックは面白くないが、台詞がとにかくユーモアたっぷりかつ軽快でとても楽しい。吉澤康子氏による訳がいいんだろうか? ま、210円の価値は十分にあると思う。
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2008年09月09日

悠久の銀河帝国(アーサー・C・クラーク&グレゴリィ・ベンフォード)

yuukyuuugi.jpg クラークの「銀河帝国の崩壊」の源作となる「都市と星」の続編をベンフォードが書き、この2作品を合体させた本だ。

 ベンフォード節に早く触れたいから、復習もかねて前半を一気に読み終わり、期待の後半へ進む。

がっかりした


 これらはまったくの別物語だ。クラークによる第一部が総天然色のカラー映画だとすれば、ベンフォードによる第二部は3D立体映像並みの迫力とスケールがある。しかし面白くないのである。

 ベンフォードとは前作も含め相性が悪いのかもしれないな。

 作中出てくる(p293)「地球の長い午後」というフレーズがあるが、まさにそのとおり、第二部は「地球の長い午後(ブライアン・W・オールディズ)」そのものだ。ジュブナイルの第一部に対して、ノベルの第二部か。

 第一部のヒーロー・アルヴァンが新人類であり、第二部は旧人類と奇妙な6足の知的生命体がヒーローとなる。人類の味方である知的生命体ヴァナモンドと狂った頭脳との戦いが第二部のクライマックスだが、ヴァナモンドも、ダイアスパーのアルヴァンも、リスのセラニスも、その息子セオンもまったく活躍しない(セオンにいたっては登場すらしない)。

 そもそも、「銀河帝国の崩壊」はその発想の原点が第二次世界大戦より前だと聞く。これだけで驚きだ。クラークはこれが気に入らなかったらしく、後に「都市と星」でこの作品を発展させる。SFとしてすばらしい作品だと思う。

 予断だが、私は圧倒的に前者が好きだが、井上勇氏による日本語訳はイマイチだ。この点、後者は山高昭氏による日本語訳はかなりいい。今こうして2作品をぱらぱらと見たが、やはり前者のほうがいい。
(もっとも2作品とも出版が古くて、老眼にはつらい・・・)

 さて、本作「悠久の銀河帝国」の日本語訳も山高昭氏だ。軽快な訳はとてもわかりやすいが、それでも第二部は難解だ。訳が悪いのか、それとも違いすぎる作品をひとつにした出版上の悪さか不明だが、これはあまり読む価値はないと思う。ベンフォードはやはり別の世界観なんだなぁ。久しぶりに楽しみにしていたSFだったが、ちょっと残念
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2008年09月02日

まさかの結末(E・W・ハイネ)

masakanoketu.jpg 超久しぶりの読書。しかも文庫本。ショート・ショート全24編から再開することにした。

 ま、時間つぶし程度の本だね。250ページほどの分量だが、1時間半程度で終わってしまうからちょうど一日の通勤時間だな。

 次は古本屋でゲットした宮部みゆき作品でも読もうかな。
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2008年06月25日

八月の博物館(瀬名秀明)

画像0010.jpg 私としては「パラサイト・イブ」「ブレイン・ヴァレー」に続く3作目。

 予備知識ゼロで読み始めたが、とてもおもしろい。オカルト色がなく、ファンタジー色が強い本作は、主人公とは別にそれを描く作家と作者本人が入れ子になり、さらに合間合間に自らの主張やエッセイらしきものが入りとてもユニーク

 ディック(最新映画名作書籍)+13F+ネバーエンディングストーリーってな筋で、きっと賛否両論あるだろうけれど、捨てずに自宅の書棚を飾る名作だと思う。
(作中にあの古本屋が出てくるから瀬名氏も好きな映画なんだろう)

 瀬名氏の作品はいずれも完璧なCGで作られた映画のようだった。論理性に妥協がないハードな作品。でも、そこが完璧すぎるから、小説として必須である仮説がオカルトっぽく見えたり飛躍しすぎてその落差について行けなくなる。これはたぶん私自身が理科系だからだと思う。

 対して本作はきれいな宮崎アニメのような感じ。だから蘇りとかタイムパラドクスとかヴァーチャル・リアリティだとか言った大きなしかも一歩間違うとまったく興ざめな仮説(背景)もすんなり受け入れられる。

 そもそも瀬名氏と私は好みが似ている。だからこそ、前2作で感じた落差を自身も感じていたに違いない。本作でそれが克服されたとは決して思わないが、ここを突き抜ければ間違いなく傑作が生まれる気がする。

 作中にもあるが、自然界をシュレディンガーの波動方程式で表すことを知ったとき、私は「さすがに複雑なものだから複雑な式なんだ」と感動した。しかし、アインシュタインを学んだときの感動とは比較にならない。

「イー・イコール・エムシー・ジジョー」

 これだけですべてを表すことに猛烈な感動を覚えた。アインシュタインは統一場理論を完成できなかったが、その魂は脈々とわれわれの中に息づいていると思う。

 語り尽くせないが、こういった美しさや感動は眼で感じるものではない。自然界の風景で感動するのとは別の感動だ。瀬名氏はその感動を共有したかったのだと思う。がんばってほしい。もっと感動を共有したいから。

追伸)
 瀬名氏のblogを見つけた。同じSeesaaだった。時間を見つけて読んでみよう。
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2008年03月20日

ディスクロージャー(マイクル・クライトン)

disclo.jpg 続いてハードカバーを手に取った。

 少しだけ読み始めてから捨てた。テーマはセクハラ。要するに興味を持てなかったということ。やっぱりクライトンはSFチックでないと読む気になれないなぁ。
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2008年03月18日

ライジング・サン(マイクル・クライトン)

risingsun.jpg クライトンのジャパン・バッシングと呼ばれる作品。今回は筋よりもアメリカでの日本人ビジネス戦士たちを描いている。

 私には書評ほどバッシングとは読めない。日本人はレイシスト(人種差別者)だとかいったところは的を射ていると思う。自らがその被害に遭っていると思う反面、自らも国内では進んでそういった行動をとると思う。さりげなくガイジンを排除する雰囲気があるという程度だが、確かにレイシストと感じるだろう。

 日本人の描き方がビジネス戦士過ぎるが、それは外国まで行ってる日本人を見るからかもしれない(このフレーズは私自身が海外で働く日本人をレイシストしているのかな?)。総じて言えば、あまりおもしろくなかったってことかな。

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2008年03月04日

プレイ -獲物-(マイクル・クライトン)

pry.jpg 久しぶりのクライトン。

 ナノテク+バイオ+分散処理でハードでもソフトでもない微妙なバランスのSFを作っている。今回も一気に読めたので、相変わらず展開は早く楽しめる作品だ。

 もちろん、ラストはナノマシンと人間が融合するというアクロバチックな帰結だが、映画化を考えると許容範囲かな。

 知能は持たず捕食・被食関係をプログラムされているだけだが、その行動は生物と呼べるというナノマシンを登場させているが、ここにはある種説得力を感じる。鳥のV字飛行やシロアリ塚の例を引用するまでもなく、遺伝子だって同様の行動を起こすと思うから。

 生物=知性ではないが、最近は研究が止まっていると聞く人工知能の分野も面白そうだなぁ。夢物語だけれど、クライトンの作品は電車の中の読書にはいいな。
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2008年02月26日

終戦のローレライ(福井晴敏)

 昨年11月から数えて3月ぶりの読書ネタ。老眼に気づいてから、遠ざかっていた読書復活! 福井節が今回は戦争時代に飛んで発揮・・・できるのかどうかを確認したかった。
(全4巻とかなり長編なのが少し不安だったが・・・)

roreri.jpg

 今回は原作を読んですぐに映画「ローレライ」を見るという連続パターンとした。

 原作は「ミュータント少女を利用した高性能人力水中ソナーを具備したドイツ製潜水艦を駆る日本軍人たちが、米軍による東京への第三の原爆投下を阻止する」という背景で進む。

 だが、私自身はこの安物SFのような人力ソナー部分がどうしても受け入れられずに、エンディングへの興味だけで長編をダラダラと読んでしまった。潜水艦が主たる舞台であり、その舞台の過酷な環境は以前に「深海の使者(吉村昭)」で読んでしまっているだけに、ラストの1対40の戦い部分の迫力もうすっぺらい印象が強い。

 しかし、その仮説を無視すれば、組み立てはまさに福井節だし、登場人物も適切なタイミングでその役割を終える。加えて愛とか友情とかいった感性部分が浮き彫りにされる。ETのようなあり得ない設定の中で構築されるファンタジー色がとても濃い。男臭さが薄れ、香水の香りがする作品という表現は言い過ぎだが、それ以上にこの作品を表現する語彙を私は知らない。

rorrr.jpg 対する映画はというと、登場人物も筋も削られたり変更されたりしている部分が多すぎてがっかり。原作はあまりに無駄とも思えるようなサイドストーリーが多すぎる気がするので多少の割愛はシェイプアップでいいんだが、準主役級の扱いがあまりにあっけない

 しかし、役所広司という俳優がとてもいい味で一人舞台とすら感じる。いい役者だなぁと思う。

 また、エンディングについては、原作の説教くさいだらだらしたそれよりも映画の方が遙かにすっきりと洗練されており非常に好感がもてる。総じて原作の方がいいが、エピローグ部分は映画の圧勝

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2007年11月25日

人間狩り(P・K・ディック)

ningari.jpg ダーク・ファンタジーと銘打って再登場しているディックの作品集。

 もちろん、ピカイチは「偽者」「人間狩り」「展示品」。その他もアンハッピーエンドだが、主人公をぶった切る思いっきりの良さがスカっとしてさっぱり読後感である。

 作品は以下の通り。とにかくどれもアンハッピーエンド! そしてほとんどが、いきなり見知らぬ世界に放り込まれた主人公の悲劇を描いている。ディック節全開の傑作集だといえる。

・パパそっくり
 誰かがパパに化けている。この手の虚構現実モノはディックならではだね。
・ハンギング・ストレンジャー
 エイリアンが作った踏み絵はハンギングマン。自分だけが変わらず家族を含め周りはなにか変だ。いい味だ。
・爬行動物
 う〜ん、意味不明。オチがどんでん返しなんだけれどなぁ。
・よいカモ
 宇宙から魔の手が科学者に伸びてきて・・・。イマイチだなぁ。
・干渉者
 主役が蝶であることを含めサウンド・オブ・サンダーっぽくていいね。
・ゴールデン・マン
 動物たちのすばらしい容姿は生存のためであるという新進化論。まぁまぁかな。
・ナニー
 アシモフのようなロボットものだが、終わりはディック節そのもの。
・偽者
 映画のできが最高だったのは、やはり素材がいいからだろう。
・火星探査班
 これもいい。ホーガンっぽく地球人は実は火星人だったというもの。
 ただ、筋がすぐにわかるだけにエンディングにひとひねりほしかったなぁ。
・サーヴィス・コール
 わかりにくい作品だが、ラストのユーモア感覚で許せるかな。
・植民地
 いいねぇ。読めるエンディングだけれど、映画にするとかなり面白いものができそうな感じだ。
・展示品
 虚構現実ストーリーだが、ハッピー・エンドの直前に待ち受ける悲劇。まさにダーク・ファンタジー
 いいエンディングだ。
・人間狩り
 名作中の名作変種第二号というタイトルのほうがより知られているかもしれない。
 原題は Second Variety。見たことは無いが映画もあるらしい。いやぁ、いいねぇ。
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2007年11月21日

宇宙の操り人形(P・K・ディック)

uchuaya.jpg 初期の中編(表題作)+短編3つ。表題作は、いきなりゾロアスター教だったりして、意味不明のまま話が進み、いつの間にか終わる。sigh

 これまた意味不明の「地球乗っ取り計画」、ミュータントが人類を狩る「地底からの侵略」、ラストは味があると思うがすぐに先が読める「奇妙なエデン」が続くが、どれも部屋いっぱいに広がったおもちゃがフィルムの逆回しのように一瞬で元の箱に収まるような小気味よいエンディングは期待できない。

 ま、ディックだってたくさん作品があるんだから、こんな時もあるさと割り切って読みましょう。
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2007年11月09日

木星強奪(ドナルド・モフィット)

mokusei.jpg 旅の燃料となる水素を得るために木星を丸ごと持って帰ろうとする白鳥座の生物とのファーストコンタクトもの。全然ハードじゃない(論理的だとは思えない)おはなし。

 は虫類系の白鳥座星人が出てくるまでは非常に退屈。上下巻だが、一冊で十分な内容だと思う。かなり流し読みをしてもあらかた筋が分かるというのも少し寂しいね。

 エンディングも含め途中で捨てればよかったかなぁと思うような作品だった。残念!
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2007年11月06日

亡国のイージス(福井晴敏)

ejis.jpg 福井晴敏再び

 映画にもなった話題作。登場人物全員がいきいきと描かれている。模倣犯なみに個々のドラマがあり、100ページごとにどんでん返しがある。

 中年男と若き戦士のバディが北朝鮮テロと闘うという福井作品共通地盤に立ち、善と悪を渾然一体と描きながら、諸悪の根源を追求していくという筋の鋭さが絶品

 下手に女性が出てこない男臭い作風も私の好みだし、エピローグはきっちりとそつなく叙情的にまとめている。いい作品だ。
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2007年10月30日

藍色回廊殺人事件(内田康夫)

aiiro.jpg 吉野川第十堰を背景に、ドラマにもなったお茶の間推理小説。主人公浅見光彦は和製ホームズといったところかな。

 社会現象やその土地を詳しく調査してさらっと背景に書いていくあたりは自然体でとてもいいのだが、ミステリーとしては設定に無理があるものが多く見られる。

 そもそもこの作者は、ミステリーは背景であり、社会現象とか舞台となる土地の紹介の方が本筋ではないかとさえ思える(そう理解した方がわかりやすい作品だ)。

 本作は特に(私が苦手な)ラブロマンスだけに、殺人の動機などが希薄に感じて仕方がない。登場人物も少なく伏線が張られるものではないので、気楽かつ一気に読める。ラスト数ページで全ての謎を解くという手法もいい感じだ。ただ、私には長続きしそうにない感じだなぁ。もう一冊読んでみてから判断しようかな。
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2007年10月18日

陰陽師(夢枕獏)

onmyouji.jpg 和製シャーロック・ホームズとワトソン博士って感じがする陰陽師とそのペアの活躍を描く軽快な作品。

 ひとつひとつが独立した短編集なので、通勤電車で読みやすい。でもただそれだけと思う。物の怪とか妖怪関係が多いから、非現実的すぎておもしろくないというのが実直な感想か。

 作品は次の通り。「玄象といふ琵琶鬼のために盗らるること」「梔子の女」「黒川主」「蟇」「鬼のみちゆき」「白比丘尼」

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2007年10月16日

13階段(高野和明)

13kai.jpg 江戸川乱歩賞受賞作品であり、映画化もされた有名な作品(らしい)。

 模倣犯の宮部みゆきも絶賛とかいうが、それは短くまとめ上げた点についてだろうなぁ。短い分だけテンポはいいが人間ドラマという部分は宮部作品にかなり劣ると思う。

 ストーリーが2人の主人公を核として進み、予想もつかないエンディングへと導くのは見事だが、真相は伏線もなくどんでん返しというわけではない。あまりに出来過ぎた話すぎて、あまりスカっとしない

 老眼の傾向が出てきたため、ハードカバーで読んだのだが、文庫本だと途中でやめたくなったんじゃないかなぁ。こぢんまりしたテレビドラマ風って感じかな。
posted by いなえしむろ at 11:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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